中古住宅を土地とあわせて購入し、住み始める前に大規模にリフォームして新しいわが家にするという方法があります。
新築に比べ費用を抑えることができますが、いざ工事に取り掛かろうとしたときに、
法律などの規定が障害になることがあります。しっかり調査しましょう。
リフォームしようとする建物が木造であれば、建築確認申請※が必要になることはあまりないといえますが、リフォームに合わせて増築をする場合、防火・準防火地域内であれば建築確認申請が必要です。また防火・準防火地域外であっても、10㎡ を超える増築をする場合はやはり建築確認申請が必要です。リフォーム工事の場合、手を付けない既存部分も含めて最新の法律に合致していることが求められるので、建ぺい率や容積率、北側斜線制限や道路斜線制限、24時間機械換気設備、耐震基準などについて建物全体のチェックを受けます。想定していなかった工事が必要になる場合もあるので、物件探しの段階から考慮しましょう。
※建築確認申請
建築主が、建築の着工に先立って、その計画が建築関係法令に適合するものであることの確認を受けるために行政機関に対して行う手続き。
水道管工事で予想外の出費も。
同様に見落としがちな情報として水道管の状況があります。もし、前面の公道の下を通っている本管から新たに敷地内に水道管を敷く場合には、数十万円の費用がかかることもあります。
物件売買に伴って必ず説明しなければならない「重要事項」の1つに、近くの公道に埋め込まれた水道本管や敷地内の配管の状況があるので、敷地内に何mmの管が敷かれているか必ず事前に確認しましょう。老朽化していたり、管が細い場合は、新たに敷き直すことが必要になる場合があり、予想外の出費になってしまいます。
住宅履歴書などで事前にチェック。
もちろん、購入しようとしている建物についても十分な調査が必要です。築年数や工法・構造、間取り図などは示されますが、建築後の点検や修繕、リフォーム等がいつ、どのように行われているのか、そうした「点検・工事履歴」についても、しっかり情報を得るようにしましょう。特に、購入後、屋根、外壁、柱や土台・基礎などに大きな問題が見つかれば、高額な修理費用がかかります。「住宅履歴情報」※が残されていれば、それをきちんとチェックするのはもちろん、そうした記録がない場合は、売買の仲介に当たる不動産業者の許可を得てその家の状態をしっかりチェックすることが必要です。
※住宅履歴情報
住宅の設計、施工、維持管理、権利及び資産等に関する情報をいいます。
(一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会のホームページより。
検討時点から専門家のアドバイスを。
中古住宅を購入する際には、土地を巡るさまざまな法規制や、その土地がもっている条件、建物の状況などが複雑にリフォーム工事に影響するため、物件を探す時点から、リフォームを依頼する会社のスタッフや建築家などに依頼して、一緒にその物件を検討してもらえば安心です。土地と建物は「不動産的な情報」(築年数や広さ、方位、駅からの距離、生活環境など)だけでなく「建築的な情報」(さまざまな法規制、地盤の強さ、道路や近隣の建物との関係、日照や通風、建物の修理履歴など)と合わせて検討することで、どのようなリフォームがどの程度の費用で可能か、どんな暮らしができるかといったことが明確になります。ぜひ、検討時点から専門家のアドバイスを受けてください。